特定事業用宅地事例
判断を誤りやすい事例 特定事業用宅地
事例① 子から親に賃料を支払っている場合
相談内容:
相続人(長男)は、被相続人(父)と生計を一にし、父の所有する土地建物を借りて、賃料を払って建築業を営んでいた。
長男は、この土地建物を相続し、その後も建築業を行うこととしているが、この土地についての小規模宅地の特例はどのようになるか。
回答:
土地建物の賃借が有料である場合には、生計を一にする親族間であっても、被相続人の不動産貸付に該当し、貸付事業用宅地として200㎡を限度に50%減額の適用がある。
生計を一にする親族の事業の用に使用されている特定事業用宅地に該当するためには、無償の賃貸(使用貸借)で借りていることが条件となるので、本件宅地は特定事業用宅地に該当せず、80%減額の適用はない。(措置法通達69の4-4)
事例② 親と子の事業内容が異なる場合
相談内容:
被相続人(父)は、その所有する土地建物で内科病院を経営していた。土地建物は大学病院で歯科医をやっている長男が相続することになったが、長男はこの病院を歯科医院に改装して、事業を開始した。
この場合の小規模宅地の特例の適用はどうなるか。
回答:
内科医と歯科医は日本標準産業分類の小分類で別個に分類されていること、また内科医は医師法、歯科医は歯科医法と根拠法も異なるため、同一の事業とは見なされず、事業が継続されたとは言えず、特定事業用宅地の特例の適用はない。
親が税理士、子が社会保険労務士の場合も同様に判断される。
小池正明先生「相続税小規模宅地特例の実務」