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2016-11-8 広大地通達の「公共的施設用地」負担の有無

2016-11-8 広大地通達の「公共的施設用地」負担の有無


広大地通達の「公共公益的施設用地I負担の有無
第三者所有の位置指定道路を利用して開発行為を行うことの可否

著しく地積が広大な宅地であっても、都市計画法に基づく開発行為を行う場合に、公共公益的施設用地(道路等)の負担が生じなければ広大地通達(評基通24-4) による広大地の評価をすることはできません。今回は、その開発行為を行う場合、公共公益的施設用地の負担の有無について争われた公表裁決をご紹介します。(平成28年2月913裁決・全部取消し・TAINSコードJ102-4-14)

〈事案の概要>

被相続人の妻が相続により取得した土地(本件土地)は、その北西側で市道に、その東北側で位置指定道路(建築基準法42①五)にそれぞれ接している地積613. 37m'の宅地です。位置指定道路は、幅員4.Om、延長38.55mとして位置の指定を受け、4名の第三者(私道所有者ら)が共有する道路で、その一端が、本件土地がその北西側で接する上記市道に接続し、もう一端の先は行き止まりとなっています。

この事案は、審査請求人らが、本件土地は広大地通達に定める広大地に該当するとして相続税申告をしたところ、原処分庁が、位置指定道路を利用して開発行為を行う場合、公共公益的施設用地の負担は生じないことから広大地に該当しないとして、更正処分等を行ったことから争われたものです。

く審判所の判断>

審判所では、次のとおり判断し、原処分庁の主張を斥け、広大地の評価を認めました。
1 「広大地」該当性
① 本件地域(その地域)の土地は、戸建住宅分譲用地として開発を行うことが、経済的に最も合理的な利用であると認められる。そして、審査請求人らが主張する開発想定図(別図2) は、本件地域における標準的な宅地の地積(110m2程度)を踏まえて、同地積に近似した面積によって整形に区画割する方法によるものであり、開発方法として十分な合理性を有するものであると認められる。

②本件土地は、広大地通達にいうその地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に当たり、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められることから、本件土地は広大地として言平価するのが相当である。

2 原処分庁の主張に対する判断
①原処分庁は、本件土地の開発想定は別図1によるべきであり、この場合には、位置指定道路の拡幅などが必要ではあるものの、広大地通達にいう公共公益的施設用地の負担は生じない旨主張する。

②確かに、位置指定道路を利用して行う戸建住宅の分譲は、本件土地の敷地内に新たな道路を開設して行う戸建住宅の分譲と比較して、より広い建築面積及び延床面積の建物等を建築することができることになるから、このような開発方法を想定すること自体の合理性が肯定されれば、原処分庁が主張する開発方法のほうが、経済的合理性に優れているといえる。

② しかしながら、位置指定道路は、私道所有者らが所有するもので、被相続人及び審査請求人らは位置指定道路に係る権利を何ら有していない。そのため、位置指定道路を利用した開発の可否は、私道所有者らの意向に左右されるものであるところ、本件土地については、本件土地の敷地内に新たな道路を開設して行う開発方法(審査請求人ら主張の開発方法)が想定でき、十分合理性を有するものである以上、このような場合にまで、第三者の所有に係る土地を利用しての開発行為を想定することに合理性があるとはいえない。したがって、原処分庁の上記主張には理由がない。



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(税法データベース編集室依田孝子)

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