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2020-10-20 不動産取得税/共有土地の分割

2020-10-20 不動産取得税/共有土地の分割


不動産取得税/遺贈により取得した共有土地の分割

持分超過部分の有無の判断基準となる不動産の価格

地方税法73条の7(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税》第2号の3は、共有物の分割による不動産の取得については、その不動産の取得者の分割前の共有物に係る持分の割合を超える部分(持分超過部分)の取得を除き、不動産取得税を課すことはできない旨規定しています。今回は、全体が駐車場として一体的に利用されている各土地の価格について、持分超過部分の有無を判断する場合、固定資産評価基準に基づき各土地を一画地と認定したうえで、それぞれの価格比により按分計算するのか、地積比により按分計算するのかが争われた判決をご紹介します。
(令和2年3月19日最高裁・破棄自判・TAINSコード2999-8418)

事案の概要

A及びその弟Cは、平成25年3月に死亡したBからの遺贈により、分筆前の堺市の土地(分筆前土地)の持分各2分の1を取得し、その旨の所有権移転登記がされました。その後、A及びCは、分筆前土地の共有物分割を行うこととし、平成26年11月11日、分筆前土地を本件土地1と本件土地2に分筆する登記をした上、同月30日、本件土地1についてはAがCの持分全部を取得(本件取得)し、本件土地2についてはCがAの持分全部を取得して、同年12月1日、その旨の各持分全部移転登記をしました。なお、A及びCは、財産評価基本通達を参考にして、本件土地1と本件土地2の各価格が同一となるように計算して分筆したものであり、これにより、Aが本件土地1(617㎡)を、Cが本件土地2(566㎡)を、それぞれ単独で所有することとなりました。
これについて、大阪府泉北府税事務所長は、価絡を地積比(617㎡/ 1183㎡)により按分計算をし、本件取得には持分超過部分があるとして、Aに不動産取得税賦課決定処分(本件処分)をしました。

裁判所の判断

最高裁では、次のとおり判断し、価格比での按分計算を相当とした原判決を破棄し、地積比で按分計算をした第一審判決(平成30年1月24日大阪地裁、2999-8416)が正当であると判示しました。
① 固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定し、当該一画地について画地計算法を適用する場合において、算出された当該画地の単位地積当たりの評点数は、当該画地全体に等しく当てはまるものと解するのが相当である。
② 固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において、各筆の宅地の評点数は一画地計算法の適用により算出された当画地の単位地積当たりの評点数に、各笠の宅地の地積を乗ずることによって算出されるものというべきである。
③ そして、共有物の分割による不動産の取得に係る持分超過部分の有無及び額の判断のため、地方税法73条の21 ((不動産の価格の決定等》第2項に基づき固定資産評価基準によって当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価絡を算定する場合や、一画地を構成する各筆の宅地の所有者が異なる場合であっても、これと別異に解する理由はない。
④ 本件処分において、各土地を一画地として画地計算法を適用して算出した価格に本件土地1と各土地との地積比を乗ずることにより、本件土地1の価絡を算定したことは、固定資産評価基準の定める評価方法に従ったものということができる。
⑤ 以上によれば、上記の本件上地1の価絡について、固定資産評価基準の定める評価方法に従って決定される価絡を上回る違法があるとはいえないし、その客観的な交換価値としての適正な時価を上回る違法があるというべき事情もうかがわれないから、これを基礎としてされた本件処分に違法はない。

(税法データベース編集室依田孝子)
JUSTAX第327号(令和2年10月10日号)/編集・発行東京税理士会データ通信協同組合・広報部



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