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2021-09-13 取得不動産(土地と建物)の案分

2021-09-13 取得不動産(土地と建物)の案分

上物を建物と建物附属設備に按分する前提として、まず、購入価額の総額を「土地」と「上物」に按分しなければなりません。

この按分方法は、一般的には固定資産税評価額が使われますが、その他の方法はないのでしょうか?

これが争われたのが、東京地裁(令和2年9月1日判決)です。
以下、建物と建物附属設備を合わせて「建物等」と呼びます。

事案の概要

〇 A社は東京都港区の不動産(飲食店舗用ビル)を競売により落札
〇 落札金額は約25億9,000万円
〇 競売評価書における評価額は下記
・ 建物等:4億4,300万円
・ 土地:約17億2,200万円

この状況の下、A社は次の考え方を元に、落札金額の総額を按分計算をしたのでした。

〇 建物等:12億7,000万円(類似物件を参考とした再調達価格)
→ うち、建物は約6億8,000万円
〇 土地:約13億1,900万円(路線価)
 
しかし、国税は「固定資産税評価額による按分が合理的」とし、次の価額が適正として否認したのでした。

〇 建物等:3億8,200万円
→ うち、建物は約2億400万円(建物等の価額の約53%)
〇 土地:約22億800万円

東京地裁の判断

〇 不動産鑑定評価額により按分
〇 不動産の評価額(総額):30億4,000万円
・ 建物等:約5億5,500万円
・ その他内部造作:約1,100万円
・ 土地:約24億7,500万円

〇 固定資産税評価額ではなく、不動産鑑定評価額によることが相当

判決文 

以上のような本件不動産の類型や地域性等に照らせば、本件不動産を取得しようとする者は、本件建物を賃貸することにより得られる収益的価値をより重視するものと考えられるから、本件鑑定において、本件不動産の積算価格(29億9000万円)よりも収益価格(30億4000万円)を優位とし、後者の価格を各資産の積算価格の割合に応じて配分したことも、適正な評価である。

以上によれば、本件鑑定の評価額は適正な鑑定に基づくものといえるから、本件不動産を構成する各資産の価額(ただし,本件鑑定の対象とされていない本件ディスプレイ設備及び後述する本件内部造作を除く。)は、固定資産税評価額によらずに、本件鑑定の評価額によることが相当である。


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