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生活に必要な資産

生活に必要な資産・必要でない資産の税務

個人の所有する資産に関する税務は、その資産が生活に必要か、必要でないかによって大きく異なります。所得税法の中でどのように扱われているかを一覧表にまとめてみました。施行令178条の生活に通常必要でない資産の範囲の規定を限定列挙と読むか例示と読むかによって、雑損控除や損益通算の可否が変わってくるので、更に検討を続けることにします。

通勤用の自動車については、生活に必要な資産かどうか、サラリーマンマイカー訴訟(詳細はこちら)で争われましたが、最近は国税庁のHPでも通勤用のものは非課税の動産であることを明示しています。(文責:今泉)

生活に必要か動産/その他    資産雑損
控除
災害
控除
譲渡益損益
通算
生活に必要な資産
(注1)
動産
(注2)
家具、什器、衣類非課税
30万円以下の宝石、貴金属、書画、骨董 (注2)非課税
通勤用自動車 (注3)非課税
動産以外居住用不動産課税
生活に必要でない資産 (注4)動産競走馬(令178①一)×課税
(注5)
30万円超の宝石、貴金属、書画、骨董(令178①三)×課税×
スポーツカー、ヨット課税
趣味の道具課税
動産以外別荘(土地、建物、借地権)(令178①二)×課税×
事業所得用資産×課税
不動産所得用資産×課税
非事業用    
 無形固定資産課税
 有価証券課税×
 貸付金--課税



(注1)「生活に通常必要な資産」の用語は法9条1項9号の非課税の規定で使用されているが、令25条において動産に限定されている。
法72条の雑損控除の規定では、一部の生活に必要のない資産と事業用資産が除かれているため、生活に必要な資産は全て雑損控除の適用対象となる。

(雑損控除)
第七十二条  居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失) 及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難 若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含 むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次 の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林 所得金額から控除する。

(注2)令25条
譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)
令第二十五条  法第九条第一項第九号 (非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一  貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二  書画、こつとう及び美術工芸品

(注3)国税庁HPでは通勤用自動車の譲渡は非課税であることを明示している。

(注4)一部の「生活に通常必要でない資産」は法62条の災害控除の規定及び法69条第2項の損益通算の適用除外の規定に使用されている。その定義は令178条に規定されており、限定列挙のような書き方であるが、だとするとヨットやクルーザーについても譲渡損失の通算や雑損控除が認められる理屈になり、バランスを欠くことになる

(生活に通常必要でない資産の災害による損失)
第六十二条  居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。

令178条
(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
令第百七十八条  法第六十二条第一項 (生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一  競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二  通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産
三  生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの

(注5)
(損益通算)
第六十九条  総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。

2  前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額 (以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をして もなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。

(損益通算の対象とならない損失の控除)
令第二百条  法第六十九条第二項 (損益通算の対象とならない損失)に規定する政令で定める損失の金額は、第百七十八条第一項第一号(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)に規定する競走馬の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額とする。
2  譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうちに前項に規定する競走馬の譲渡に係る損失の金額がある場合には、当該損失の金額は、当該競走馬の保有に係る雑所得の金額から控除する。



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