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2020-06-20 役員給与該当性/代表者の内縁の妻に対する給与

2020-06-20 役員給与該当性/代表者の内縁の妻に対する給与


役員給与該当性/代表者の内縁の妻に給与として支給した金員

今回は、代表者に対する役員給与に該当するか否かを主たる争点とする事例をご紹介します。東京高裁も原判決を補正の上引用しています。(令和元年5月30日東京地裁・棄却・Z888-2279、令和2年1月16日東京高裁・棄却・確定・Z888-2294)

事案の概要

本件は、原告A社が、自己の従業員であるとする乙に給与を支給したとして、その支給額を損金の額に算入して申告したところ、茂原税務署長が、上記支給額につき、乙に対する給与であるかのように事実を仮装して経理することによりA社の代表者甲に対して支給された役員給与の額と認め、法人税法34条3項に基づき損金の額に算入することはできないとして更正処分をするとともに、源泉所得税の納税告知処分をし、さらに、重加算税等の賦課決定処分をした事案です。

裁判所の判断

東京地裁は、原告A社が乙に対する給与として支給したとする支給額(月額45万円)は、乙がA社の従業員として労務を提供したことに対する対価ではなく、申に対する役員給与を支給したものと認められ、かつ、事実を仮装して経理をすることにより支給されたものと認められることなどから、本件各処分はいずれも適法であるとして、その理由を次のように判示しました。

1 本件支給額はA社の代表者申に対する役員給与に該当するか
代表者甲は、A社の業務として、建設用機械の開発、企画、立案及び設計等を行っており、乙所有の家屋2階のうち1室を自己の仕事用に使わせてもらい、そこにパソコンを持ち込んで上記の仕事をしていた。乙は甲の世話をしており、その一部にA社の業務といえるものが含まれていたとしても、家庭の主婦が夫に頼まれて行う事務の範囲にとどまる軽微な内容のものにすぎないものと認められる。

以上によれば、A社が乙に対する給与とした支給額は、乙がA社の従業員として労務を提供したことに対する対価と認めることはできず、その実質は、代表者甲と共同生活を営む内縁の妻である乙が、自宅で仕事を行う甲のために多大な労苦を伴う活動を継続してきたことに対し、その内助の功に報いる生活保障の趣旨で支給されたものと認めるのが相当であり、これは甲が個人として負担すべき費用をA社が負担したものにほかならない。そうすると、かかるA社の費用負担により甲が得た経済的な利益は、法人税法34条4項が定める「その他の経済的な利益」に当たり、同条1項から3項までの適用上、A社がその役員である甲に対して支給する給与に含まれるものというべきである。

2 本件支給額は事実を仮装して経埋をすることにより支給されたものであるか
本件支給額はA社の代表者甲に対する役員給与に当たるところ、A社は、これを乙に対する給与手当として経理処理し、出動簿を作成して、乙に厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格を取得させ、本件支給額に係る源泉徴収税等及び社会保険料を乙に係る預り金として経理処理するなど、乙がA社の従業員であるかのように装って支給をし、本件支給額を損金の額に算入したものである。したがって、A社による本件支給は、甲に対して支給した役員給与を、乙に対して支給した給与手当であると事実を仮装して経理をすることにより支給したものと認めるのが相当である。

(税法データベース編集室市野瀬音子)
JUSTAX第323号(令和2年6月10日号)/編集・発行東京税理士会データ通信協同組合・広報部



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