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2022-10-21 親子間の土地使用貸借契約の有効性 逆転判決

2022-10-21 親子間の土地使用貸借契約の有効性 逆転判決

駐車場収入の帰属/親子聞の土地使用貸借契約  逆転判決

今回は、税理士法人の助言を受けて、親子間で土地使用貸借契約を締結する等の節税対策を行ったところ、更正処分を受けた事例の高裁判決をご紹介します。大阪地裁は、駐車場収入は子に帰属すると判断しましたが、大阪高裁は、土地の所有者である親に帰属すると判示しました。
(令和4年7月20日大阪高裁・原判決取消し・確定・TAINSコード。Z888-2426)
(令和3年4月22日大阪地裁・却下・認、容・控訴・TAINSコード2888-2363
・JustaxNo. 339参照)

事案の概要

本件は、承継前一審原告(亡甲)が、処分行政庁から亡甲の子である被控訴人(長男乙及び長女丙)の名義で賃貸された土地の賃料(駐車場の収益)は亡甲に帰属するとして、増額更正処分等を受けた事案です。本件においては、亡申と乙及び丙との間で、土地の使用貸借契約及び土地上に敷設されたアスファルト舗装等の贈与契約等による一連の取引(本件各取引)がされています。

大阪高裁の判断

所得税法12条は、課税物件(収益)の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきとする趣旨のものであると解される。

本件土地の所有者は亡甲であると認められるが、長男乙及び長女丙が、亡甲から賃貸人たる地位を承継し、駐車場の収益を収受し、これらの収益権の根拠として、使用貸借契約に基づく使用借権を主張する。

この点について、使用貸借契約が有効に成立したと認められる場合には、乙及び丙が、本件土地から「生ずる収益の法律上帰属するとみられる者」に当たることになるから、更に乙及び丙が「単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合」に当たるか否かを検討すべきことになる。

1 使用貸借契約の有効性
本件贈与契約のうち、アスフアルト舗装は、土地の構成部分となり、独立の所有権が成立する余地はないから、乙及び丙が舗装部分を所有することを目的とした使用貸借契約が成立したと解釈する余地はないが、使用貸借により、付合した舗装部分をも含む土地上で乙及び丙が駐車場賃貸事業を営むことは当事者双方が明確に認識していたのであるから、舗装部分を含む土地の使用貸借と解するのが合理的である。

本件使用貸借契約書の記載どおり、使用貸借契約は真正に成立したと認められる。

2 長男及び長女の『単なる名義人であって・・』該当性
本件各取引は、相続税対策を主たる目的として、亡甲の所得を子らに形式上分散する目的で、子らに対して使用貸借契約に基づく法定果実収取権を付与したものにすぎないものと認められる。

したがって、たとえ、駐車場の収益が乙及び丙の口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子である乙及び丙に対する土地の法定果実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりその収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、駐車場の収益については、乙及び丙は単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する場合に当たるというべきである。

(税法データベース編集室市野瀬音子)
JUSTAX第351号(令和4年10月10日号l/編集・発行東京税理士会データ通信協同組合・広報部
干151'0051東京都渋谷区千駄ヶ谷5-10-9更生保護会館/TEL(03)3350-6300FAX (03)3350-4628



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