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2021-10-21 親子間の土地使用貸借契約の有効性

2021-10-21 親子間の土地使用貸借契約の有効性

駐車場収入の帰属/親子聞の土地使用貸借契約の有効性

今回は、税理士法人の助言を受けて、親子関で土地使用貸借契約を締結する等の節税対策を行ったところ、更正処分を受けた事例をご紹介します。大阪地裁は処分を取り消し、原告の請求を認容しています。なお、国側が控訴しており、今後の高裁判決にも注目したいと思います。
(令和3年4月22日大阪地裁・却下・認容・控訴・TAINSコードZ888-2363)

事案の概要>
本件は、原告が、平成26年分の所得税等について、収入の計上誤り等を理由とする更正の請求をしたところ、処分行政庁から、更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたほか、原告の子ら(長男乙及び長女丙)の名義で賃貸された土地の賃料(駐車場収入)は原告に帰属するとして、増額更正処分等を受けた事案です。本件においては、原告と長男乙及び長女丙との聞で、各土地の使用貸借契約及び各土地上に敷設されたアスフアルト舗装等の贈与契約、乙及び丙と各賃借人間の賃貸借契約、委任者を乙及び丙とする駐車場管理契約の各契約による一連の取引(本件各取引)がされています。

裁判所の判断>
大阪地裁は、駐車場収入は原告ではなく子らに帰属するとして、その理由を次のように判示しました。

1 使用貸借契約書の真正な成立の有無
被告は、原告が使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったから、使用貸借契約書は成立したものと認められない旨主張する。しかしながら、使用貸借契約書の署名・押印に至る経緯、その記載内容その他本件各取引の内容、原告の知識・経験、各取引後の取引実態、確定申告における原告の行動等を総合すれば、原告が使用貸借契約書の基本的な内容を認識した上で使用貸借契約書に署名・押印した事実を優に認定することができる。したがって、使用貸借契約書は真正に成立したものと認められる。

2 処分証書の法理にいう「特段の事情」の有無
経験則に照らせば、使用貸借契約舎のような処分証書が真正に成立していれば、「特段の事情Jがない限り、作成者によって記載どおりの行為がされたことを認めるべきである(処分証書の法浬) 。被告は、本件各取引は、長男乙及び税理士法人が、総体としての租税負担を免れることを目的に企図したこと等の特段の事情がある旨主張する。しかし、節税効果を発生させることを動機として使用貸借契約締結することはあり得るのであって、節税の動機と目的物を無償で使用収益させる意思とは併存し得るものであるから、上記の目的がある場合であっても、直ちに経験則を妨げる「特段の事情」があるとすることはできないというべきである。

3 駐車場収入の帰属
使用貸借契約は対価を払わないで他人の物を借りて使用収益する契約であるから(民法593条)、長男乙又は長女丙は、平成26年2月以降、原告から、各土地の使用収益権を与えられたことになる。そして、乙又は丙は、各土地の使用収益権に基づき、第三者との間で賃貸借契約を締結し、各土地の賃借人から駐車場収入を得ることになる。他方、原告は、各土地の所有者ではあるが、平成26年2月以降は、使用貸借契約の締結により、各土地の使用収益権を乙又は丙に与えたため、各土地の賃貸借契約の賃貸人ではなくなり、駐車場収入を得ることはできないことになる。

JUSTAX第339号(令和3年10月10日号)/編集・発行東京税理士会データ通信協同組合・広報部
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東京税理士会データ通信協同組合情報事業資料

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