税務調査棚卸資産
税務調査と棚卸資産
税務調査で必ずチェックされる項目の一つに棚卸資産があります。
棚卸資産とは企業が販売目的で保有する資産の事を言い、売上原価の算定に影響します。棚卸資産が減ると、その売上原価が増え、利益が減少し、納税額も減ります。
チェックポイント
①計上漏れ確認 | 決算日を挟んで前後1-2カ月くらいの仕入数量と売上数量を確認し、計上漏れがないかどうか確認する。 |
②原始記録の保管 | 実地棚卸の際に使用した棚卸票等の原始記録をもとに、どのように期末棚卸高を計算したか説明できるようにする。 |
③預け在庫の有無 | 倉庫や外注先、仕入先などに預けてある商品や未着品がないか確認する。 |
④取得価額確認 | 仕入れに係る付随費用を棚卸資産に含めているかを確認する。(関税、引取運賃、購入手数料など) |
⑤評価方法確認 | 期末棚卸資産の評価方法が、税務署に届けた評価方法によって算定されているか確認する。 |
⑥評価損の根拠 | 品質低下、陳腐化などによって評価損を計上した場合には、その原因と根拠を明確にする。 |
⑦廃棄損の根拠 | 実際に棚卸資産を廃棄したかどうか、期末までに行われたかどうかについて、原始記録から確認する。 |
調査の進め方
調査官によって相違はありますが、概ね以下のような手続きで調査を進めて行きます。
まず、実地棚卸の際に使用した原始記録をもとに、資産計上までの過程の聞取りが行われます。いつ・誰が・どのように実地棚卸をし、どの単価を付けたのかということを聞き取り、不審な点がないかを確認します。
廃棄損があった場合には、その商品を廃棄した理由、廃棄業者から受領した記録や社内稟議書などを確認することもあります。
次に、棚卸資産の保管状況を確認するため、実際に現場に赴き、商品受払の手続き、長期滞留在庫の有無、現場における作成帳簿などを確認します。
預け在庫があるような場合は、計上漏れがある場合が多いので、賃借料などの勘定科目から倉庫保管料の計上の有無を確認し、預け在庫が簿外になていないかを確認します。
(武蔵府中法人会だより195号 2011年7-10月号)
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