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Justax NO.242 被相続人に無断で購入したマンションの評価

東京税理士会データ通信協同組合情報事業資料
JUSTAX No.242

被相続人に無断で購入したマンションの評価
相続財産の評価について、評価基本通達総則1項は、財産の価額は時価(通達の定めによって評価した価額)によると規定しており、同6項は、この通達により難い場合の評価について規定しています。

今回は、購入価格と評価額との差額を利用して、相続税を節税するために購入したマンションの5判面をめぐって争った事例をご紹介します(平成23年7月1日非公開裁決・一部取消し・FO-3-326)。

く事案の概要〉
請求人は、相続開始2か月前に、被相続人に無断で同人名義のマンションを2億9300万円で購入しました。本件は、請求人が、購入したマンションを、相続財産として評価基本通達に基づき5801万円余と評価して相続税の申告をしたところ、原処分庁から、請求人は、相続開始日に被相続人から同マンションの取得代金相当額の贈与を受けたとみなされるから、その代金相当額は相続開始前3年以内の贈与財産に該当するとして相i期並の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を受けた事案です。

く国税不服審判所の判断〉
審判所は、マンションは相続財産に該当するが、その評価は購入価額によると判断しました。
① マンションは相続財産か否か
被相続人が請求人に対し、マンションの購入に関する委任をした事実は認められず、委任状が作成されているとしても、被相続人は意思無能力者であったから、請求人が行った売買其約は無権代理行為となる。しかしながら、請求人は、被相続人の唯一の相続人であるところ、無権代理人である請求人は、本人である被相続人の資格において無権代理行為の追認拒絶権を行使することは信義則上認められないから、無権代理行為は当然有効となり、本人である被相続人が自ら売買契約をしたのと同様の法律上の地位を生じることとなる。したがって、本件マンションは、相続財産となる。

② マンションの評価/購入価額か相続税評価額か
請求人は、相偏見の負担を回避するために、自己の行為の結果を認識するに足る能力を欠いていた被相続人の名義を無断で使用し、売買契約に及んだものである。このような場合に、評価基本通達に基づきマンションを評価することは、相続開始日前後の短期間に一時的に財産の所有形態がマンションであるにすぎなし、財産について実際の価値とは大きくヨjE離して過少に財産を評価することとなり、納税者間の実質的な租税負担の平等を害することとなるから、上記の事情は、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別の事情に該当するというべきである。そうすると、マンション取得時と相続開始時が近接していること、マンションの近傍における基準地の価格は、相続開始日の前後においでほぼ横ばいであること等を参酌すると、相続開始時における本件マンションの時価は、取得価額とほぼ同等と考えられるから、2億9300万円と評価するのが相当である。

重加算税/隠ぺい仮装の有無
相続税の申告において、請求人の納{村すべき税額が過少となったのは、マンションの評価基本通達に基づく評価額とその実勢価額に開差があることにより生じたものであり、請求人の行為によって直ちに生じたものではない。したがって、請求人の行為をもって事実を隠ぺい又は仮装したとまで評価することはできず、重加算税賦課決定処分は、違法であるといわざるを得ない。
(税法データベース編集室市野瀬音子)

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